「腰痛」には、「危険な腰痛」があることをご存知ですか?
危険な腰痛とは、内臓の病気の一つとして症状があらわれる腰痛のことです。
現代では国民病とも言われている、「腰痛」
国民の8割が経験したとデータがあるくらいですから、腰痛で悩んだことが無い人を見つける方が難しいですね。
この記事をみているあなたはもちろん腰痛で悩んでいる、もしくは悩んでいたことがあるでしょう。また、周りにいる人をみても「あ〜腰が痛いわ、、。」なんて会話はよく聞くことでしょう。
そこで、一般的に腰痛といえば、どんな状態を思い浮かべますか?
- ぎっくり腰(急に腰が痛くなって、動けない。動くと痛みで辛い。)
- 慢性腰痛(腰が重い、だるい、痛い、張ってくるetc)
大きく分けるとこの2つが思い浮かぶのではないでしょうか?
これらの腰痛は急性(急に痛めた)、慢性(3ヶ月以上続く)のどちらかに分類されます。
多くが筋肉や椎間板、神経、血流、骨などによるものですが、内臓の病気による腰痛は放置しておくと非常に危険なんですね。
また、腰の痛み以外の症状でも注意すべきものがあります。
腰の痛み以外の注意すべき症状がでている際は病院をすぐに受診する必要がありますが、それらは、腰痛と結びつきにくいものだったりするんですね。
そこでこの記事では、「危険な腰痛について」紹介していきます。
内容は大きくわけて2つ。
「すぐに病院へいくべき腰痛以外の症状」
「腰痛を起こす、おもな内臓の病気」
について記事にしたのでぜひ知っておいてください。
まずは、すぐに病院へ行くべき、腰痛以外の症状からお伝えします。
すぐに病院へいくべき症状3つ
1、排尿・排便の異常
もっとも注意して欲しい症状の一つがこの「排尿・排便の異常」です。
よく腰椎椎間板ヘルニア(脊髄神経が腰の背骨のクッションである椎間板によって刺激を受けている状態)や、脊柱管狭窄症(脊髄神経が通る背骨の空間が狭くなってしまい、脊髄神経を骨が刺激してしまう状態)に合併するこの症状。
腰痛や足のシビレ(坐骨神経痛)が主な症状ですが、あなたも聞いたことが一度はあるのではないでしょうか?
手術をしたスポーツ選手のニュースが報道されることも多いですね。
この危険な状態である排尿・排便の異常とはどういうことかというと、
腰痛とともにいつもと比べて以下のような状態が起こります。
- 尿が出にくい
- 勢いがない、弱い
- 排尿に時間がかかる
- 知らない間にもれている(尿失禁)(便失禁)
- 便秘が続き、お腹が苦しい
- お腹が痛い
- 自力で尿と便が出せない
特に危険な状態が2つ。
・尿と便の失禁が起こるとき
・自力で尿と便が出せない
この際には緊急手術をしなければならないことがあります。
それだけ、危険な状況ということなんですね。
どういう状態かというと、腰の神経である馬尾神経が障害を受けていて、排尿、排便という「人間の毒素を排出する」生きて行く上で必要不可欠なことができないからです。
このまま放っておくと、当然命にも関わります。
病院にいかれた際には聞かれると思いますが、ご自身でもあらかじめこのことを知っておいてもらい、万が一排尿・排便障害やその疑いがあるようなら、お医者さんに伝えておくと安心です。
これはとっても大事なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
2、発熱
腰痛とともに、発熱を伴う場合があります。
それもなかなか引かない状況。
高熱はもちろんですが、微熱であったとしても熱が続き、加えて腰が痛む場合はすぐに病院にかかりましょう。
細菌が背骨に感染して発熱している可能性や、他の病気をともなっている可能性があるためです。
「自宅にあったから熱冷ましの薬を飲もう」や「薬局で熱に効く風邪薬を飲んでおけばいいか」、「痛み止めの薬でごまかそう」と様々なクスリを服用して、一時的に熱が下げればいい。痛みが引けばいい。
とやってしまうとキケンです。
上気したような対処で何日も何週間もごまかしていて、悪化してしまうことも少なくありません。
あなたは大丈夫でしょうか?
すぐにクスリに頼って、ごまかそうとするクセはありませんか?
いざという時にキケンなので、このことは知っておいてください。
また、クスリでその場を対処していても、効かないようになってきて熱がじわじわ上がることもあります。
そのため、朝、夕方など熱を測り、日々体温を把握しておくことをおすすめします。
自分の平熱は把握しておきましょう。それが基準になりますので。
3、だんだん痛みが強くなっていく場合(安静にしていても引かない場合)
腰痛のほとんどは、痛めた際に強い痛みがあったとしても、安静にしていたら徐々にやわらいでいきます。(仕事を休む、ベッドやソファなどで楽な体勢で過ごすようにして)
安静にして身体を休めていても、痛みが治まらない場合やさらに痛みが強くなっていく場合は注意が必要です。
「それはなぜ?」
稀ではありますが、骨に腫瘍ができている場合などは、だんだん痛みが強くなっていったり、安静にしてもやわらがないことがあるためです。ズンズンと脈をうつような痛みや、腰に熱を持ってズキズキするのが安静にし続けていてもおさまらない場合などがそうですね。
骨自体に腫瘍ができることは非常にまれではありますが、他の臓器の腫瘍が転移してきやすいのが骨です。
前立腺がん、甲状腺がん、腎臓がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、肺がんなどが骨に転移しやすいともいわれています。
痛み止めを服用しても、湿布や鎮痛剤を塗ったり貼ったりしても、安静にしていても、痛みが引かない場合はこのようなキケンな病気が隠れていることがあるので、知っておいてください。
1、排尿・排便の異常
2、発熱
3、だんだん痛みが強くなってくる場合(安静にしていても引かない場合)
お伝えしてきた3つの症状がどれか1つでも見られる場合はすぐに病院へいきましょう。
検査、診断をうけて何もなければ安心ですが、ほっておいて安心できる症状、状態ではありません。
このことはぜひ知識として知っておいて欲しいと思います。
では、次にもう一つの項目である「腰痛を起こす、主な内臓の病気」について紹介します。
腰痛を起こす、おもな内臓の病気とは
内臓の病気により、腰痛が起こることがあるということは聞いたことがあるかもしれませんね。
実は、その内臓の病気によって、症状の現れ方は違います。
これは聞いたことがない方がほとんどではないでしょうか?
それによってある程度の判断ができますが、あまり神経質にはならず、怖がりすぎず、知識として知っておいてください。
「私はこれに当てはまるから、この病気だわ、、、、。どうしよう、、、」
なんて、心配や不安でいっぱいになられる方も多いので、あくまで考えられる、可能性があるという程度で硬くならずに読みすすめてみてください。ほとんどの場合が内臓の病気ではない腰痛ですから。
では、この項目では「腰痛をおこすおもな内臓の病気と、現れる症状」をお伝えします。
1、泌尿器系
①尿路結石(にょうろけっせき)…尿の通り道(尿路)に結石(小さい石ころみたいなカタマリ)ができる病気です。
症状としては、激しい痛みや腰背中、脇腹、下腹部痛。血尿などが現れます。
僕の知り合いでも31歳の男性がこれで苦しんで、仕事を2日間休みました。
それはそれは痛くて辛くて、大変だったそうです。。。が!結石はオシッコとともに出てくれます。そうすると彼はスーッと楽になったようです。
②腎盂腎炎(じんうじんえん)…腎盂腎炎とは腎臓に細菌が感染して起こる病気のことを言います。腎盂って聞いたことないと思いますが、腎臓の中の尿が貯まるところを言います。
症状として現れるのは高熱、腰背中痛、頻尿・尿のにごり、血尿など。
③遊走腎(ゆうそうじん)…横になっているときは正常位置に腎臓があるが、立つと腎臓が本来あるべき位置より下がってします(下垂する)病気のことを言います。
症状としては、腰痛、わき腹、背中痛など。
腎臓は3Dに動きます。腎臓が本来ある位置から移動して腰の筋肉や背中の筋肉、脇腹の筋肉を刺激して痛みがでる状態ですね。
泌尿器系は以上になります。次に女性が気になる婦人科系に行きますね。
2、婦人科系
①子宮筋腫…子宮筋層内の平滑筋細胞(子宮の内側の内膜の外側の筋肉細胞のこと)から発生する良性腫瘍。
症状としては、月経量の増加、月経時の腰痛下腹部痛、貧血など。
②子宮内膜症…子宮内膜が子宮内腔以外の部位に発生して増殖する病気。
症状としては、下腹部痛、腰痛、排便時の痛みなど。
③卵巣のう腫…卵巣の中に液体成分がたまって腫れている状態。
症状としては、腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、便秘、頻尿、性器出血など。
次に消化器系へ。
3、消化器系
①胃・十二指腸潰瘍…胃または十二指腸におこる潰瘍。
症状としては、上腹部痛、腰痛、吐血、下血、胸焼け、吐き気、嘔吐など。
②慢性膵炎…すい臓に炎症が起こって、すい臓の細胞が破壊される病気。
症状としては、上腹部痛、腰背中痛、吐き気、嘔吐、食欲不振など。
③胆石…胆汁の通り道に結石ができる。
症状としては、右上腹部痛、腹痛、腰痛、発熱、黄疸(おうだん)など。
④胆嚢炎(たんのう)…胆嚢内の胆汁(油を分解する酵素)に細菌が感染して炎症が起こる。
症状としては、腹痛、腰痛、発熱、嘔吐など。
次に循環器系へ。
4、循環器系
①腹部大動脈瘤…腹部大動脈にこぶができる病気。
症状としては、腰背部の鈍痛。万が一こぶが破裂すると激烈な腹痛や腰痛。
②閉塞性動脈硬化症…おもに腹部から下肢の動脈がつまったり細くなって起こる病気。
症状としては、下肢の冷感やしびれ、腰痛、休み休みでないと長いこと歩けないなど。
5、がん
腎臓がん…血尿、腰痛、発熱、体重減少、食欲不振、貧血など。
すい臓がん…食欲不振、体重減少、上腹部痛、腰背部痛、灰白色便など。
子宮がん…不正性器出血、おりものの異常、下腹部痛、腰痛、下肢痛など。
これらが「腰痛をおこす、おもな内臓の病気と症状」になります。
腰痛以外に、お伝えしたこれらの症状がみられ、なかなかおさまらず続いている場合はすぐに医療機関を受診してください。
おわりに
「危険な腰痛について」2つ。
「腰痛を起こす、おもな内臓の病気」と「すぐに病院へいくべき腰痛以外の症状」をお伝えしてきましたがいかがでしたか?
これらの危険な腰痛、病気はまれではありますが、実際にあります。知識として知っておいてもらうことで、万が一このような腰痛症状が出たときに適切な行動対処ができると思います。
この記事がそんな保険のような、お役にたてば嬉しいです。
川上健史郎