「最近手首が痛いねん…」子供が急につぶやく。「手首?なんか捻ったの?」と聞いても「捻ってない」の一言。
こんな親子の会話パターン。実はここ数年非常に多いんです。
このパターンでの子供の疾患はほぼ「スマホによる腱鞘炎」。
「え?腱鞘炎って子供でもなるの?」と思うでしょうが、増え続けています。実際に治療院に来られる方でも「こどもの腱鞘炎」と聞くと、親御さんはびっくりされます。
スマホ、ゲーム、パソコン…最近の子供さんを取り巻く環境は親世代になかったものがたくさんですよね。こういった環境がが当たり前になり、昔はほとんどなかった子供の腱鞘炎が増えています。
この記事では、「子供の腱鞘炎について」と「対処方法」について紹介します。もし、子供さんが最近手首が痛くてよくスマホを触っているならこの記事をチェックして、今後の対応への参考にしてください。
腱鞘炎とは?
まず、腱鞘炎について紹介しておきます。
正式名称は、「狭窄性腱鞘炎」と言います。腱鞘炎と聞くと手や指をイメージするかもしれませんが、時には肘や腕まで炎症が起こる疾患です。
腱鞘炎になると、痛いのはもちろんですが、字が書けない、消しゴムを強く消せない、スマホを片手で持つと辛い、ペットボトルのフタが開けられない、重いものを持つのが辛いなど、日常生活に様々な支障が出てきます。
症状が進行すると、曲げた指を伸ばそうとしても伸ばすことができなかったり、指を曲げた時にガクッと曲がってしまう、指がバネのような動きになってしまうバネ指(弾発指)という症状がでることがあります。
他にも、親指側に突っ張るような違和感があったり、手首から親指にかけて激痛がある、ドケルバン腱鞘炎と呼ばれるものもあります。
子供の腱鞘炎と大人の腱鞘炎は違うの?
「子供の腱鞘炎と大人の腱鞘炎は違いがあるの?」とよく質問を受けますが基本的に同じです。症状もほぼ
ただ、「小児ばね指」といった疾患があり、乳児の頃から親指の第一関節が曲がったまま動かない。親が伸ばしてあげると伸びる。といったことがあります。
この場合は、病院でまず診てもらう方がいいですが、基本的に手術になることはまれです。原因も特にわかっておらず、1歳~6歳頃といった赤ちゃんや小さい子供さんの疾患ですので、今回の腱鞘炎のケースとは全く別ですね。
腱鞘炎は大人も子供にも起こる疾患です。ばね指だけ、「小児ばね指」といって特殊な赤ちゃん~子供に起こる疾患があるということだけ知っておいてください。
子供の腱鞘炎の原因は?
子供の腱鞘炎が起こる原因としては、大きく3つあります。手や指をたくさん使うためでもありますが、スマホ、パソコン、ゲームのしすぎ、ストレス、睡眠不足、食事の問題などからも起こり得ます。
1.使い過ぎ
腱鞘炎は、指を曲げ伸ばしする腱(屈筋腱)と、曲げ伸ばしする時に腱が浮き上がらないように抑える筒状の繊維(靭帯性腱鞘)が、何らかの影響で摩擦を起こし、ダメージが蓄積されて炎症を起こし、痛みを感じます。
腱は正常な状態であっても、動作をするたびにこすれあって腫れが起こります。しかしこの腫れはあくまで一時的なものなので、通常は短時間で元通りに回復します。
たとえば、パソコンを長時間使用する職業の方は、クリック動作やキーボード操作で手指の細かい動きが必要となります。
その場合、特定の筋肉が疲労して硬くなってしまいます。特定の筋肉の腱が腱鞘と擦れることで腱鞘炎を発症するというわけです。
2.運動不足、睡眠不足、栄養不足
最近の子供さんの環境は昔に比べて、がらっと変わりました。塾、24時間開いてるコンビニ、布団で寝たふりしながらゲームやスマホで友達とLINEなどでコミュニケーションをとる。お菓子やジュース、ケーキ、ファーストフードが簡単に手に入り、週間化する。。
こういった環境であると、腱鞘炎以前の問題がでてきます。健康の基本である「運動×食事×睡眠」このバランスが崩れてしまいますよね。この環境下で生活しつづけているとどうでしょうか?どんどん身体は負担がかかっていき、結果的に腱鞘炎といった症状がでてきます。
3.ストレス
ストレスが原因で腱鞘炎になるのは、自律神経の乱れによる、ホルモンバランスの崩れが関わってきます。
ストレスにより自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れてしまうと、血液の循環が悪くなってしまいます。
血液の循環が悪くなると、本来排出されるべき老廃物を体外に排出することができず、筋肉や腱に蓄積され腱鞘炎を引き起こしてしまうことがあります。
最近は子供のストレスも非常に社会問題とされています。スマホやSNSといったコミュニケーションツールが、いじめや暴力といったことに繋がっていたり、運動不足や睡眠不足によるストレスを受けた結果ホルモンバランスが乱れて、腱鞘炎に繋がっているケースも多いです。
今からできる対策は?とってもシンプル
原因になる1~3を少しづつなくしていくだけ
「腱鞘炎だから、シップを貼ればいい?冷やしたらいい?温めたらいい?それとも……」というのは二の次でいいです。
基本的に子供は大人よりも治る力は強いので、そのような対処は二の次。それよりも原因となっている1~3を少しづつ取り除くことに目を向けましょう。
かなり単純ですが、それが一番子供の腱鞘炎を治すのに適しています。
1.手の使いすぎ→スマホなら片手でつかわない。両手で操作するだけでも片手より負担は減ります。スマホやパソコン、ゲームは時間を1時間と家族で決める。親の目の元でしか使わせない。もしくは痛みが引くまでまず使わせないことでもいいでしょう。
パソコンのキーボードを叩くゲームやオンラインゲームはかなり手に力が入っているようです。夢中になるんですね。僕はやったこと無いですが、されている方の話を聞いたりみたりすると、興奮しているのか手にものすごい力が入るんですよ。
これって大人はあんまり知らないですよね。だいたい子供さんがするものってわからないと思いますので、ぜひ知っておいてください。
2.運動不足、睡眠不足、栄養不足→これは単純ですね。睡眠不足になるリスクが一番高いのはスマホを布団に持ち込むことでしょう。寝る前にスマホを預かる。リビングで充電させる。といった対策だけでも全然違います。子供は疲れてるから、スマホで興奮覚醒させなければちゃんと寝てくれます。もちろんゲームもそうですね。DSなどはリビングで管理しましょう。
栄養に関してですが、特にジュースとお菓子を減らす。最小限にしてください。甘い物は腱鞘炎の治りをわるくするだけでなく、身体の成長にも影響を与えます。ホルモンなどが代表例ですね。
運動は、スマホやパソコンに向かう時間を削ることで必然的に増えるでしょう。お休みの日に外へ連れて行くのでも良いです。
3.ストレス→ストレスは非常に難しいと思います。人それぞれ違うでしょうからね。ただ、スマホやゲームの時間を増やすことで、何かしらのストレスを受けるリスクは増えるはずです。ゲームの勝ち負けでイライラ、ネットの掲示板で書き込みのトラブルやののしりあいなど、子供は友達以外のネット社会で傷つけられたりストレスを受けることもあるので、制限するのが一番良いかなとは思います。
それを制限するのがストレスになるといったこともあるかもしれませんね。でも、そのストレスは最初の1週間くらいだと思います。僕も昔スマホのゲームにはまっていた期間がありましたが、時間の無駄だと思ってやめたら、最初はやりたくて仕方ない感じがありましたが1週間すればまったくストレスを感じなくなりました。僕だけかもしれませんが、、、ぜひやってみてください。
それでも症状が引かない場合は病院へ
整形外科が専門
それでも症状が改善しない場合や、生活を変えることができない場合は病院へいくことをおすすめします。
専門は整形外科なので、そちらを受診してください。整体院や整骨院でも対応できますが、こどもの腱鞘炎や手の痛みに対応できるか問い合わせてからの方がいいでしょう。
整体院によっては、肩こり腰痛のみの場合やエステのようなところもありますし、整骨院でも腱鞘炎は外傷の負傷原因があるパターンはほぼないので、保険適用はできないはずです。自費で施術になるか、対応してるか聞くと良いでしょう。
おわりに
「子供の腱鞘炎について」と「対処方法」について紹介してきましたがいかがでしたか?腱鞘炎は子供に非常に増えている疾患の一つです。なんで増えたか?というと子供の体力や筋肉が昔に比べて弱くなったわけではありません。
子供を取り巻く環境が変わったためですね。
そのため親御さんには子供にもこういった腱鞘炎はあるということと、原因やその対処をしっておいて欲しいと思います。
今手首が痛いお子さんがいる人も痛くないお子さんがいる人も。参考になれば嬉しいです。
川上健史郎