「もしかして、椎間板ヘルニア?」腰痛に足のシビレを感じる状態の時、真っ先に思い浮かぶのは「ヘルニア」ではないでしょうか?特に、足のシビレというのは不安に襲われて当然だと思います。 実は、腰痛と足のシビレというのは全てが椎間板ヘルニアに当てはまるわけではありません。特に問題がない場合もあれば、極まれではありますが脳の異常がある場合まで様々です。この記事では今発生している腰痛と足のシビレが椎間板ヘルニアの症状にあてはまるのか、またその可能性があるのかをお伝えします。
椎間板ヘルニアとは。どうなってることをいうの?
「椎間板ヘルニア」って一度は聞いたことあると思いますが、一体どんな病気なのかよくわからないと思います。ざっくりどんなものかというと、「椎間板」という背骨と背骨の間にあるクッションが、正常な位置から飛び出して神経を圧迫し、腰や脚にしびれが起こる病気で、特に20代~40歳代の働き盛りの男性に多く見られます。実際に現場でもその世代の患者さんに非常に多いですし、私自身実は中学3年時に腰の椎間板ヘルニアを経験しました。 それでは、椎間板ヘルニアのメカニズムについて解説します。
これは腰椎といって、背骨の腰の部分です。 矢印で示しているのが椎間板という背骨と背骨の間にあって、上からの体重などの衝撃を吸収しながら、腰を前後左右に動かすための補助もしているんですね。特に腰の椎間板は体の中心部なので、大きな負担がかかりやすく首の椎間板よりもヘルニアになりやすいといわれています。
これが上から見た正常な椎間板ですね。その下にあるのが脊髄神経と呼ばれるもので、ヘルニアになるとこの脊髄神経が圧迫されてしまうのです。そうなっているヘルニアの状態を次の図を踏まえてお伝えします。
左の図が左横からみた図です。椎間板が飛びだして、神経がグニャっと圧迫されています。右側の図が上から見た図ですが、先ほど見た正常な状態とは違い椎間板が飛び出して左側の神経を圧迫しています。この状況が「椎間板ヘルニア」と診断されることになるんですね。次はこのヘルニア(飛び出し型)の4つのパターンをお伝えします。
椎間板ヘルニアのタイプは4タイプ。
実は、椎間板ヘルニアにも4つのタイプがあります。
膨張・突出型
椎間板の中にある髄核というゼリー状の物質が椎間板を背中側へ押し出すパターン。腰痛を特に訴えることが多いです。
脱出型
髄核が椎間板の外膜の部分を突き破ったところでとどまるパターン。これもしびれよりは腰痛を訴えることが多いです。
穿破脱出型
髄核が外膜の後ろの後縦靭帯(脊髄神経の前にある)を突き破り外側に飛び出るパターン。坐骨神経痛が多いです。
遊離脱出型
髄核が後縦靭帯を突き破り、一部がちぎれてしまうパターン。坐骨神経痛が多いです。
以上の4つのパターンがヘルニアにはあるんです。大まかにいうと、上から下にかけて症状が強くなることがほとんどですね。ただ、椎間板ヘルニアといっても症状というのは本当に様々なので、次に椎間板ヘルニアの主な症状をお伝えしていきます。今出ている症状が椎間板ヘルニアの可能性があるのかどうか、ご自身の判断基準にして頂ければと思います。
椎間板ヘルニアの症状は?セルフチェックではこれに当てはまるかどうか!
それでは、腰の椎間板ヘルニアの主症状についてお伝えしていきます。
「坐骨神経痛が主症状」
結論からいきます、腰の椎間板ヘルニアの主症状は坐骨神経痛です。(坐骨神経といって腰から足先に伸びている神経に沿って痛みやしびれが出る状態)
椎間板ヘルニアの主症状は、腰痛と脚のしびれや痛みです。前かがみになったり物を持ったり、長時間立っていたりすると椎間板の内圧が高くなって症状が強まります。 椎間板ってほとんどが水分で出来ているのですが、意外にも20歳代から加齢変性がおこりだすので弾力性が少なくなったりもろくなってきます。そこに負担が強くかかる生活をしていると、ヘルニアが出やすくなり、飛び出して脚につながる神経を圧迫することで坐骨神経痛がよく起こるんですね。左右どちらかの脚にでることが多いですが、両足にでることもあります。
シビレがよく起こる部位
シビレがよく起こる部位は片脚のふくらはぎの外側にシビレが出やすいです。また、太ももの外側や、後ろ側、足の甲や裏なんかにもでることがあります。どこにシビレがあるか、痛みがあるかということを自分で確認しておくことで、専門家にはっきりと場所を伝えれるようにしておくと、診察もスムーズにいくので、確認しておきましょう。
カラダが左右どちらかに傾いてると、ヘルニアの可能性が高い!
坐骨神経痛により、自然と体が左右に傾いている姿勢をとっている場合はヘルニアの可能性が高いです。
このように鏡の前に立ってみてください。どうでしょうか?これは疼痛性側弯といって、痛みを避けるため左右どちらかに姿勢が傾く状態です。自分でできる椎間板ヘルニアの大まかなチェックになりますので、参考にするとよいと思います。
他のよくある症状は??
主症状は坐骨神経痛ですが、もちろん他の症状もあります。
・下半身のマヒ(力が入らない、動きにくい)
・下半身の知覚神経異常(左右手で触れて感覚がどちらか鈍いなど)
・尿が出にくい、残尿感が強い
・便秘がいつもよりひどく感じる。
・やたらとつまづく、こけそうになることが増える。
などなど、上記の症状もよくあります。どうでしょうか?一つでもあてはまる場合は椎間板ヘルニアの可能性があるので、今すぐにでも医療機関にかかることをおすすめします。
椎間板ヘルニアはレントゲンでは確定診断できない?!
今までこの記事を読まれてきて、もしかしたら椎間板ヘルニアかもしれないと思われた方もいるかと思います。 「じゃあレントゲンを撮ったらわかるんでしょ?」となるでしょうが、実はレントゲンでは椎間板ヘルニアと確定診断できないんですね。どうしてかというと、レントゲンでは骨は映るのですが、先述した椎間板や神経は映らないのです。なので、問診やレントゲンだけの結果では椎間板ヘルニアだろうとまでしか診断はでないので、場合によっては確定のための検査を受けるために設備の整った病院を紹介されることもあります。
椎間板ヘルニアを確定させる検査は、MRI(磁気共鳴画像)
椎間板ヘルニアを確定させるには、MRI(磁気共鳴画像)といった検査機器に入ることになります。このMRIがある病院は入院設備が整った病院だったり、整形外科でもある所と無い所があります。MRIの検査では椎間板から飛び出したヘルニアがどの位神経を圧迫しているのか、または飛び出してないのかなどがはっきりと画像でわかります。この検査の結果椎間板ヘルニアですね、と確定されますのであらかじめ知っておいてもらうと良いかと思います。
自然に治る確率がある?!意外な事実とは
もしも「椎間板ヘルニアです」と確定診断されたら、真っ先に浮かぶのが「今すぐ手術をしなきゃいけないのかな?」という不安だと思います。ですが、ほとんどの場合は今すぐ手術することはないので安心してください。尿が出にくい、無意識に出てしまう失禁などの排泄障害がある場合は重症なので48時間以内の緊急手術をすすめられていますが、ごくまれです。ほとんどが、保存療法といって、手術をせずに薬や運動療法、物理療法(電気治療や牽引治療)で様子をみます、その結果3ヶ月を超過しても全く症状に変わりがない場合は手術をすすめられることがあります。私もヘルニアを中学時代に患った際には、手術をせずにこの保存療法で治っています。
ヘルニアを食べて無くしてくれる?!
ヘルニアの50%から60%は、3~6ヶ月で自然縮小・吸収されることがわかっています。どういうことかというと、ヘルニアがあると、その飛び出したものを脳が排除しなきゃいけないと命令を出すんですね。そしていわゆる白血球(マクロファージといいます)がパクパク少しずつ食べて排除してくれるんです。これを期待して保存療法を行うといってもいいかもしれませんね。なので、そういう事実、概念があることを知っていると安心して過ごすことができると思います。
ヘルニアの治療はどんなことをするの?病院と整体院ではこう違う
腰の椎間板ヘルニアの治療方法は、病院や整体院で受けることができます。当然手術を受ける場合は病院で行いますが、ここでは病院と整体院での治療方法の違いについてお伝えします。
病院での治療方法
主には3つあります。
1.物理療法(電気治療やホットパック、超音波治療やアイシングや腰の牽引など)主には血液の流れを促すようにしていきます。
2.運動療法(ストレッチや腰痛体操、筋肉トレーニングなど)いわゆる身体の弱っているところにリハビリテーションを行います。
3.投薬治療(血液の流れを促す薬や痛み止め薬、ビタミン剤や湿布など)薬を出してもらい、症状を緩和させていきます。 病院では、整形外科もしくはリハビリテーションを行っているところに行かれると良いと思います。内科などでは対応していないことが多いので注意してくださいね。
整体院での治療方法
主には3つです。
1.骨格の歪みを矯正する(腰椎部のゆがみや体全体のバランスを整えて、椎間板部にかかる負担を構造的に減らすようにしていく)
2.血液やリンパ液の流れを良くするために、筋肉や筋膜を調整する。(マッサージが代表的)
3.内臓のズレや疲労を調整して、身体の状態を引き上げて回復力を高める。
整体院の場合は各院によって、治療方法が大きく変わりますので、私の院での大枠での椎間板ヘルニア治療方法を紹介しています。中には、椎間板ヘルニアに対応していない院もありますのでため、整体院で受けられる場合はあらかじめ椎間板ヘルニアを対応してくれるかどうかの確認をしておくと良いかと思います。
おわりに
いかがでしたか?腰の椎間板ヘルニアの症状、自分でできるチェック法、関連情報をお伝えしましたが、もしも今の症状が椎間板ヘルニアにあてはまるなら早めに医療機関を受診されることをおすすめします。なんでも早めに対処するほうが良いことは間違いありません。この記事があなたの疑問を少しでも解消し、その結果不安、症状改善の第一歩になれば幸いです。